どこかに 帰りたい
高校生の時、「ぼくの地球を守って」、という漫画が流行って、友達に勧められて読んだら面白かった。友達は、萩尾望都も、聖闘士星矢も好きで、いろいろ勧められてよんだが、記憶に残ってるのは、この、「ぼく球」だけだ。
主人公の小林輪が、いつも帰りたいと望んだ場所がとても印象的で、孤独に苛まれ、悲しみに暮れ、精神が崩壊するまでの間に、癒しとして現れる光景が、なんとも言えない空気に包まれている。
日本でなく、地球のどこかにある、幸せで平和な光景。帰れる場所のある幸せ、が、よく伝わる。
日本に生まれ、日本で育ったなら、見たことのない田園風景や秋の焚き火の香り、冬に移るときに感じる寂しさや風のキリッとした冷たさ、卒業式の頃の沈丁花の香り、等、誰に教えられなくとも、遺伝子の記憶の中で懐かしさが蘇る。
あの夕暮れの、寂し気な空の下に、暖かな家が、ぽつんと待っていてくれている。あの光の中に、家族の命が守られている。暖かな食事とお風呂、お布団が待ってくれている。
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