中学生の頃の記

まだそれほどおしゃれなカフェなどなかった頃。物語で、「霧の向こうの不思議な街」と「ジェイン・エア」というお話が大好きだった中学生時代。当時住んでいた街に、花屋と雑貨とカフェが一緒になった、素敵なお店があった。

そのお店に、一か月に一度足を運んでいた。
少しのお小遣いの中から、花を買ったり、カップや装飾品、クッキーやパンを買ったりして、自分の部屋でゆっくりとした時間を過ごすのが好きだった。

今はもうないが、今でもあんな素敵なお店があったらいいな、と思い出す。

月に一度通うのには、理由があった。中学生1.2年の頃、私はとても良い習慣を自主的に作っていた。朝、基礎英語を聞くのに起きて、それから部活の朝練へ行く。部活はお盆と正月くらいしか休みがないような、今でいうと練習熱心な、ブラック部活だった。
でもそれはそれで、とても充実していた。

転機は中3の春だった。試しに、努力することを辞めてみようと、悪戯に考えて実行してみた。でも怠けることは容易く、あっという間に自堕落になった。それからかれこれ30年が経つ…。

高校受験もそれなりな位置に収まり、でも、やっぱりあの中1.2の様な習慣を続けていたら、今とは違う人生だったのか、とも思う。

高校生の頃に、学校が無意味に思え、それでも機械的に学校へは通っていた。一番の後悔は、カトリックの学校に通いたいと思っていたのに、仏教の学校に通うことになったこと。

そのために、お店にやってきては、気持ちを入れ替える様に、ずっとその店の雰囲気を安らぎとして、もしかしたら、自分はやり直せるのではないか、と、どこかで願っていた。

いつもの、花屋と雑貨とカフェの店には、会員制のカフェスペースがあった。学生には縁がないと思い、大人になったら、あんな風に様々な人と、午後のひと時を緩やかに過ごしたい、と羨ましく眺めていた。

今はとても幸せで、小高い山の上の一軒家で、毎日子供達のお世話に明け暮れている。いつかあの店の様な、素敵なスペースを一人でも多くの人と分かち合いたい、と今は夢を描く。




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